”まずはやってみる”プラモ技術シリーズ 塗装剥がし編、IPAできれいに剥がす回
さて、中古組み立て済みのガンプラを買うようになって、なるべく素組を買ってはいますが、中には意図せずに塗装済みの物を購入することもあります。そこで剥がしたくなるのです・・・、塗装被膜を・・・・。そこで今回は、再利用できます、中古塗装済みプラモデルでも、IPAの温度管理で塗装を剥がします。まずはIPA(イソプロピルアルコール)を使って塗装を剥がす方法をご紹介しますと称して、その方法の一部をご紹介します。

今回使用するパーツの状態は・・・
先日より製作しているMGゼータプラスC1型を使用します。こちら、2000年代前半のキットであり、さらに塗装済みということもあり、最悪は塗装から20年ほどは経っているかもしれない状態です。

試しに、テールスタビレーターの表面を削ってみましたが、そう簡単には素材が見ないほど被膜の厚い塗装です。さてさて、これをどう剥がすか・・・・
とりあえず、塗装剥がしの方法を検索した
ところで、大きく2つの方法をネットで確認しました。
- ”塗装に使う溶剤”に付ける方法(うすめ液、ツールクリーナー等)
- 自動車のケミカル用品である”燃料タンクの水抜き剤”を使用する方法
ちなみに、溶剤にの方法については、大昔に塗装したものを剥がしたくて試したことがあります。ですが、べたべたするだけでうまくいかず、プラスティックを溶かしている印象があったので、今回はガソリン水抜き剤の方法を試すことにします。
おそらくですが、きれいに塗料を剥がすポイントは、IPA(イソプロピルアルコール)と、温度です。
使用する部材を紹介します
まずは、肝心かなめのIPA(イソプロピルアルコール)

まず、肝心の液体については、ガソリン水抜き剤に配合されている”IPA(イソプロピルアルコール)”を用意しました。当初は、ガソリン水抜き剤を何本も用意してようと考えていましたが、肝は”IPA(イソプロピルアルコール)”の様子でしたので、量の多い物を購入しました。
※ちなみに、後述しますが、取り扱いには十分の注意が必要です。もし、試してみたい方は、必ず下調べして無理なく安全に使ってくださいね。私が参考にしたのは、ChatGPTと、某社様のホームページです。ですが、当然ながら、自己判断でご使用してください。そして、当HP管理人やご紹介したHPの企業様も責任を負うものではありません。検索すれば必ず出てくるので、下調べが重要です。

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次に、容器について

次に、溶剤に漬けておくための容器です。ふたが出来るもの、電子レンジにも耐えれるものを用意しました。なるべく面積の大きいものがおすすめです。ちなみに、私は溶剤の事が理解できていなかったこともあり、念のためガラス製の物を自宅から拝借しました。

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次は、パーツ洗浄のための容器として、私はボールを用意しました。かなり大きめです。
そのほかのツールについて

最後に画像は無いですが、溶剤に付けた状態でパーツに触れることが出来るように、
- ピンセット(つまんだり引っかいたりできるように)
- 歯ブラシ(擦るために)
- 画像は無いですがビニール手袋
- マスク、メガネ(私は老眼鏡)
- 食器用中性洗剤
- 食器洗いのスポンジ
- 食器洗いの桶
- IPAを再利用するための容器
- 漏斗(じょうご・ろうと)、コーヒーフィルター
など、後からご説明しますが、下調べで必要になりそうなものを準備しておきました。

でーは、塗装を剥がすために、IPA(イソプロピルアルコール)に浸していきます。
それでは、塗装を剥がしていきます。
まずは、浸してみた・・

まずは、容器の底に並べていきます。

ではいよいよ、IPA(イソプロピルアルコール)を注いでいきます。

少しの間、ピンセットでつついて全面に液体が当たるようにします。

蓋をしっかりとはめ込み、時間を置きます。私はとりあえず30分浸しておきました。

中のパーツを確認しましたが、ピンセットで突いても塗装は剥がれず、次の事を試すことになりました。
ここで、特性を確認してまとめておきます。
一般的に、ラッカー系シンナーの管理の方がシビアなようですが、今回のIPA(イソプロピルアルコール)も十分に取り扱いには注意が必要な液体です。一度その特性をまとめておきます。
1,IPAの特性
- 作用メカニズム
- 塗膜を溶かすわけではない、浸透 → 膨潤 → 密着低下 → 剥離
- “弱らせて剥がす”タイプ
- 周囲の温度が20度以上で効果を発揮しやすい
- 塗料に対する落ちやすさ
- 水性 ◎
- エナメル ○
- ラッカー △(時間・温度依存)
- 特徴
- プラへの攻撃性=低〜中
- 揮発性(蒸発性)=高い(目に見えない発火性の高い気体が充満しやすいことを意味するので注意がかなり必要)
- 引火性=あり(扱いには非常に注意が必要)
2,使用上の注意(最重要)
- 揮発・吸入対策
- 必ず換気をすること(大型換気扇、風上を意識した屋外など)
- 顔を近づけない(マスク着用、ゴーグル着用)
- 密閉容器の開封はゆっくり(蒸気が放出される際、外気温との差は重要)
- 引火対策
- 火気厳禁(タバコなどは最も危険)
- 静電気対策(冬場は特に注意、扱う前は金属に触れて放電必要、服装にも注意)
- 電気スイッチ周辺で開封しない(目に見えていなくても、発火元となりえるので注意が必要)
- 加温時の注意
- 蒸気濃度が急上昇するので、開封時が最も危険
- 冷ましてから開けたり、段階r的に蓋を開放するなどの工夫があったほうが安全
- 素材ダメージ
- ABS → 脆化・割れリスクが増大するので、漬け置きの場合は短時間推奨
- 接着部 → 分離(接着方法や時間により状況は変わる)
3,素材別の使い方(実務)
- PS(外装パーツ)比較的安全に使える
- 漬け置き:OK(30分〜数時間)
- 加温:効果大(ただし安全管理必須)
- ABS(関
- 基本は漬けない方が望ましいので、ふき取り推奨ではある
- 短時間なら接触しても可
4,標準作業手順(安全を考慮して)
- STEP1:準備
- 換気確保(換気扇下、直射日光の当たらない屋外など)
- 火気排除(タバコやコンロ、電気スイッチ付近などは要注意)
- 手袋推奨
- STEP2:漬け込み(PSのみ)
- 容器にIPAを投入+パーツ投入
- 軽くフタ(完全密閉しないのが理想)
- STEP3:待機
- 常温:数十分〜数時間
- 加温:10〜20分で効果大
- STEP4:除去
- 歯ブラシのような弾力性のある物などでこする
- そもそも、塗膜が浮いて剥がれる場合もある
- STEP5:洗浄
- 漬け込み等から、キッチンペーパーなどで除去しながら取り出す
- 中性洗剤+水(食器洗い洗剤に漬け置いてから、食器洗いのスポンジなどでこすりながらIPA残留を除去)
- STEP6:乾燥
- 完全乾燥(重要)
5,加温テクニック(応用方法だが、危険性が格段にアップする)
- 方法
- 容器を直接加熱しない(絶対に炎などで直接加熱しない)
- 容器外側から温水で湯煎など
- 加温効果
- 浸透速度UP
- 剥離時間短縮
- リスク
- 引火性蒸気の増加
- 特に開封時などの引火リスク上昇
6,よくある失敗
- 低温では効果がない → IPAは温度依存が大きい
- 濃いラッカーが落ちない → 時間不足(温度不足)
- ABSが割れる → 漬けすぎ
- 開封時に顔を近づける → 吸入すると危険
7,IPAの強みと弱み
- 強み
- 綺麗に塗装を剥がせる手段としては、比較的安全(扱いを間違えると非常に危険ではある)
- 素材ダメージが少ない(最終的に40分浸したが、PSパーツへは浸食無し)
- コントロールしやすい(有効条件が多いため、きっちりと管理すれば、ラッカー溶剤と比べて再現性が高い)
- 弱み
- ラッカーに弱い(とはいえ、ラッカー塗料の剥離には時間がかかる傾向がある)
- 日本の場合、季節依存、温度依存が大きい。(夏場は剥離しやすいのかもしれない)
8,処分方法
- 各自治体ルールに従って処分(法令順守)
- 排水口に流したり、大量に揮発を誘発するようなことはしない(法令順守や安全第一)
- 基本的には再利用を前提に考え、最終的には自治体ルールに従う(専用容器やツールクリーナーの容器など、ただし保管方法は必ずあらゆる面で精査すること)
9,まとめ
- IPAはパーツにとっては「安全寄りだが効きは穏やか」な剥離手段
- 人間にとっては、「取り扱いには細心の注意を払わなければいけない」手段なので、艦橋や人を選ぶ手段
ラッカー系溶剤との比較
一番の違いは、ラッカー溶剤が溶かす性質で被膜がドロドロになる事に対して、IPAは剥がす性質で塗装が浮いてぺりぺり剥がれる事。
溶解力については、
| 項目 | IPA | ラッカー溶剤 |
|---|---|---|
| 溶解力 | 低〜中 | 高 |
| ラッカー塗膜 | △(条件次第) | ◎(即溶解) |
| 水性塗料 | ◎ | ◎ |
溶解力の時間については、
| 項目 | IPA | ラッカー溶剤 |
|---|---|---|
| 常温反応 | 遅い | 速い |
| 温度依存 | 大きい | 小さい |
| 即効性 | 低い | 高い |
素材への影響、攻撃性については、
| 項目 | IPA | ラッカー溶剤 |
|---|---|---|
| PS | ○ | △(溶ける) |
| ABS | △(脆化) | ×(強く侵す) |
| 接着部 | 弱める | 溶かす |
揮発、安全性については、
| 項目 | IPA | ラッカー溶剤 |
|---|---|---|
| 揮発性 | 高い | 非常に高い |
| 毒性 | 中 | 高い |
| 引火性(引火点) | 高い(約10℃) | 非常に高い(約-10℃) |
という事で、扱いの難易度的には、スペック上はラッカー系溶剤より使いやすそうなIPAですが、その実、扱いの難しさは高く、シンナーと変わらないのです。
ですが、パーツへの攻撃性はシンナーより低いと思われるため、キットの再利用という点ではIPA(イソプロピルアルコール)のほうが適しているのかもしれないと思われます。
特性を理解してさらにチャレンジ
低温下では効果が薄いと聞きましたので、熱湯に15分ほど浸してその様子を確認したいと思います。

食器洗い用のたらいを利用します。

ティファールでお湯を沸かして、たらいに注ぎます。

容器の厚さの3/4ぐらいまで浸しました。この状態で20分ほど漬け置きます。ただし、実際には、パーツの塗装状況にかなり依存されるように思いますので、絶対に目を離さないでください。(安全面も含めてです)
では、パーツを取り出して確認します

ということで、まずは桶から容器を取り出して5分程度覚ましたのちに、換気扇の下でゆっくりとふたを開けました。(マスク装着、老眼鏡装着、静電気除去後)
先ほどとは違い、溶剤に塗料が混ざっています。ぱっと見、塗装が剥がれているのがわかります。そうですね、ドロドロではなくサラサラで、塗料が溶けているのではなく剥がれていることを実感できます。(沈殿物には、塗料の固形物がありましたので・・)

次に、ピンセットなどでパーツを取り出し、キッチンペーパーなどで軽く付着している液体をふき取っていきます。

何となくですが、削った後などがわかるような気がします。

最後の方は、濁った液体に沈んだパーツが見つからないので、ピンセットでかき混ぜながら探していました・・。結局、それでも見つからなかったため、IPA(イソプロピルアルコール)の再利用も考えて別の容器に移してパーツを取り出したのですけれど・・・・。(後の段落にてご説明します)

前部のパーツを取り出したところで、次の工程に移りたいと思います。
塗料を剥がしたパーツを洗浄する

塗装を剥がしたパーツですが、やはり表面にIPA(イソプロピルアルコール)が付着している可能性はあると思います。そこでまずは、パーツを利用するための最終工程として、中性洗剤で洗浄します。用意しておいたボールに水と洗剤を混ぜてパーツを浸します。

泡立てます。

しばらく30分ほど浸しておいて、一個ずつ取り出して食器洗いのスポンジで表面をこすりながら洗い流します。

本当に最終工程として、洗浄後の水分を含んだパーツを乾燥させ、これで使用できるようになりました。パーツへの浸食も無いように見え、きれいに塗装が剥がれたと思います。大満足です。
IPA(イソプロピルアルコール)の再利用について



先にも書きましたが、おいそれと処分できる物でもないので、再利用を考えていきます。色々調べると、コーヒー豆のろ紙、フィルターを使用してろ過している方が多いみたいなので、同様に試してみます。再利用するための容器は、ツールクリーナーのボトルにしました。

注いでいくのですが、すぐに目詰まりしてしまい、なかなかうまくいきませんでした。もう少し目の粗い物でろ過すべきなのかもしれません。

待ってる間に、気化してないだろうか・・・。(もちろん換気扇の下で作業してます)

割と濁っているのですが、一応は使えるようなので再利用します。(ちなみにこの方法、ツールクリーナーでも行ってます)

多少は汚れと液体が残るのですが、ティッシュやキッチンペーパーなどでふき取ってから、十分に換気できるところで気化されるの待って廃棄します。
まとめ
さて、塗装剥がしに悩んでいる方々にもおすすめしたいと思い、プラモデルの塗料をIPAで剥がした記事を書いているのですが、上記のように作業には十分な注意が必要ですし、ラッカー溶剤と同様にしっかりとした管理が必要な方法です。ですがその効果は、思った以上の結果が出てびっくりです。結論を一言で言うと、きれいに剥塗料を剥がすことには大成功でした。やはり、溶かすではなく、剥がすと言うことが一番のポイントなのだろうと実感した今回の記事内容でした。
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