”まずはやってみる”プラモ技術シリーズ スミ入れ編、滲まないスミ入れと滲むスミ入れを使い分ける回
小さいころの記憶、ありとあらゆる境目にマジックで記入した結果、小さい子のお絵かきみたいな出来になってしまった・・・、一度は経験ありませんか?そこで今回は、スミ入れの事です。要は、スミ入れ塗料の肝は塗装面の状態と綿棒の使い方にあります。まずは、滲まないスミ入れやシャドウ吹きのような滲むことを前提にしたスミ入れを使い分けていきましょう。

まずは、スミ入れとは?
そもそも、スミ入れとは?
アバウトにご説明すると、例えば大きな工業製品ではパネル同士の間に隙間があり、そこには自然な影が生まれます。しかし模型では一体成形のためその隙間が再現されないためスジ彫りや段差などで表現されているのですが、そこに暗色を流し込むことで、その隙間や影を視覚的に補う表現方法がスミ入れです。
要は、スミ入れは「線を描く作業」ではなく、「陰を作る作業」なのです。この影を作るという言葉を一時保存しつつ、説明を進めていきます。
ところで、スミ入れ方法の種類ついて
表題について、最近は大きく2つに分かれているような気がします。
- 無塗装のキットに対して、ガンプラマーカースミ入れ群を使用する。(無塗装+トップコート含む)
- 塗装済みキットに対して、エナメル塗料をを使用する。
と、この2種類です。
ガンプラマーカー派については、主に素組などで使われる傾向があり、プラスティックに直接塗る性質上、消しゴムなどで消せるという利便性が大きな特徴のように思います。エナメル塗料派については、塗料の性質をうまく使った方法であり、塗装派の方々にとってはなじみ深いというより唯一の方法のような印象です。(タミヤのスミ入れ塗料はエナメル塗料なので、下地になっているラッカー塗料の塗装面を消すことなく、エナメル溶剤を使うことによりスミ入れ塗料のみをふき取ることができます。)
ちなみに本記事では、後者のエナメル塗料を使用した方法を取り上げていますので、ご了承ください。
そして、スミ入れの色は黒だけではないのです
先ほど、影を作る作業と申しており、いわゆる影は黒なのですが、では、スミ入れは黒色だけを使っておけばよいのか・・、否、そうではないのです。
先に述べましたが、スミ入れは影を作る作業です。そして、その本質は「影の強さをコントロールする事」であり、「隙間の影を再現する事」なのです。つまり、パネルの色(外装色)や光の当たり具合(隙間の大きさ)などを考えると、その場の状況に寄ってスミ入れ色を変える事が必要なのです。
ちなみに、様々な色が発売されていますが、背景色(パーツ塗装色)ごとのおすすめスミ入れ色対応表です。(ですが、これは個人的な経験に基づく意見です・・。)
| 下地の色 | スミ入れ塗料の色 |
|---|---|
| 白系統 | ブラック、グレー、ライトグレー |
| 灰色 | グレー、ブラック、ライトグレー |
| 黒系統 | グレー、ブラック、ライトグレー |
| 青系統 | ダークグレー、ダークブラウン |
| 赤系統 | ブラウン、ダークブラウン |
| 黄系統 | ダークブラウン |
| 緑系統 | ブラック |
こちらの対応色について補足ですが、あくまでも個人の好みが色濃く反映されている配色です。私は、どちらかというと明るいアニメ的な好みではない様子ですので、どうしても暗くなりがちです。
最後に、スミ入れの作業方法について復習してみる
ところで、私のスミ入れ作業方法は
- 塗装後、エナメル塗料を毛細管現象を利用して流し込む
- 乾燥後に、はみ出たエナメル塗料をエナメル溶剤を含ませた綿棒でふき取る
といったシンプルな方法です。
使用している部材は、タミヤのスミ入れ塗料シリーズと、ふき取りはエナメル塗料の溶剤です。
タミヤツールはこちらから・・。
(スミ入れ塗料の詳細はこちらから)
まずは流し込む

タミヤのスミ入れ塗料と溶剤です。

良く振って攪拌した後、ビンの蓋内部に装備されている筆を使用して、塗料を流し込んでいきます。意外と、簡単なようで難しく、難しいようで簡単な作業ですし、塗装面にも左右されます。

方法的には流し込む対象箇所に筆先を当てるだけです。チョンでは無くて、じっと、軽く押し当てるようにしてます。(筆先の塗料は、ビン淵で半分程度落とす認識で整えておきます)

スッと流れていかない場合もあり、その時はなぞっていきます。もし、超細くて超綺麗なスミ入れを望む場合は、スジ彫りの追加深堀、スジのヤスリ掛けなどの細かい作業をかなり丁寧に行ってください。

もちろんの事、溝にスミ入れ塗料を流し込むのですが、状況に応じて段差や付け根にも流し込んでいきます。

はみ出したとしても、後から綺麗に拭き取れますので、とりあえず影を付けるイメージで塗っていきます。

光が当たらない裏側、影などにも、忘れずに塗っておきます。

忘れがちですが、暗い配色のパーツにも必要です。逆に明るい色でくっきりさせることもあるようなのですが、作品の方向性と相談して決めたほうが良いと思います。なぜなら、基本的には陰であり、境目表現のような手法はどうしてもおもちゃ感が出てしまいますので・・。

キラキラのメタリック塗装の上にも、きちんと拭き取ればキラキラ感を損なわずに表現できます。これは、エナメル塗料でのスミ入れのメリットの一つだと思っています。

濃い色のついたパーツほど、効果があると思っています。
そして、ふき取る

乾いた後は、はみ出した塗料をエナメル溶剤を使って消していきます。

まずは、綿棒に溶剤を軽く含ませて擦っていきます。

ちなみに、このように綿棒を立てて強く擦ると、溶剤の消去力は上がりますが、溝の奥まで擦ってしまう傾向にあるので、消しすぎに注意です。

そして、このように寝かせて擦ると、表面を撫でるような軽さになりますので、消去力は鈍りますが微妙な調整が可能となります。

溶剤を浸けすぎた場合は、このようにこすりつけて絞っています。(・・ティッシュやキッチンペーパーなどを使ってしまうと、水分を吸収されすぎるので注意が必要です。)

さて、4,5時間ほど乾かしてから、エナメル溶剤と綿棒を使用してはみ出しをふき取っていきます。ちなみに、スジ通りに強くふき取るとスジボリ内部まで簡単に拭き取ってしまうので、注意が必要です。

このような段差にも流し込んでいますので、ふき取りすぎない様にふき取っていきます。

基本的な意識として、スジボリには塗料で埋める感覚、段差には影を付けるような感覚を意識しています。

また、エアブラシで黒立ち上げ塗装している場合は、モールド付近は暗い場合が多いので、この暗さをの中心に筋を通すイメージです。そして、ふき取り作業についても綺麗に拭き取らずに、若干モールドの外側にかけて滲ますように綿棒を動かすと、全体の雰囲気が現実っぽくなりやすいのですが・・・・。うまく文章に出来ません。

このような段差の場合、光が当たる手前の面はきれいに拭き取り、段差の低い面に色を残すイメージが基本となります。
そして、ふき取り作業で完成品の雰囲気をコントロールする。

よりデフォルメされたリアルさを出すために、いわゆるシャドウ吹きという技術があります。実はそれ用にシャドウを吹いたことが無いのですが、その理由として、黒立ち上げ塗装+スミ入れで補えていることが大きいです。とくに影をより大きく表現したい場合など、流し込んだ塗料が乾き始める1時間後ぐらい、やや早めに塗料をふき取る作業を行うために動き出します。それは、滲みをコントロールしやすいからです。

いわゆる、あえてスミ入れをきれいに拭き取らずに、ぼかしながら仕上げる方法です。(スジボリ付近が濃く、離れていくほど薄くなるように綿棒を動かして表現します。)
ちなみに自分なりのコツとして、綿棒を使い分けることを意識しています。普通は使用していくと先がバサバサになっていき交換して捨てるのですが、あえてボロボロの綿棒を残しておくのです。なぜなら、先がボロボロの場合はかすれた仕上がりになりますし、微妙な偶然の表現が可能になるからです。ただし、塗料を多く含みすぎると、逆に汚れてしまうので注意が必要なので、きっちり拭き取りたい場合は新品、ぼかしが必要な場合は古いものというように使い分けています。

太陽光を意識して影を作っていきましょう。
余談ですが・・・、スミ入れが滲んできれいに拭き取れないことが多いです。なぜなのか・・と考えてみました。

では、スミ入れが上手にできる場合と、できない場合の状況の違いについて考えてみます。
まずは状況を整理します
まずは、成功する場合

このように、”スーッ”と滲まずにスミ入れ塗料が流れていく場合です。(私的には成功の部類なんです・・。)状況を再現するなら、
- 塗装表面がつるつるの場合
- スミ入れ塗料の攪拌直後
これらの場合、はみ出た個所を溶剤付き綿棒で撫でるだけできれいになります。
次に、失敗する場合、苦労する場合

このように、滲む場合は高確率で失敗するため、すぐに溶剤付き綿棒でふき取ってやり直します。この状況は以下の場合に起こりやすいです。
- 塗装面がざらざらしている場合
- スミ入れ塗料が分離している場合
これらの場合、時間が経過するにつれてふき取り困難になり、薄く塗料が残ってしまいます。
つまり、流し込みタイプのスミ入れを成功させるポイントは?
おそらくですが、
- 流し込み前は表面をツルツルの状態に仕上げる
- スミ入れ塗料は、適度な粘度(さらさら感)にしておくこと
ということだと思います。
1、表面をツルツルの状態に仕上げることについての対策
1つ目、下地塗料の攪拌作業をしっかり行う
というのも、常に新品の塗料ばかりを使用するわけではないからです。塗料の攪拌(混ぜ混ぜ作業です。)をしっかり行い、いつでも均等な塗料状態を保つことで防げることが多いです。塗料ビンを一気に使い切ることはあまりないのですが、攪拌不足の場合が続くと、後々の塗料状態も悪くなっているように感じました。実はこの事が一番重要で、発色のためにも塗料の品質状態を保つためにも攪拌作業は大事です。
ちなみに攪拌に使用する道具ですが、なるべく面積が広く混ぜやすいツールをお勧めします。
細い棒に比べて塗料の付着率が高くて、もったいないと感じるのですが、圧倒的な攪拌能力です。
2つ目、なるべく光沢塗料を使用することや、一時的に光沢クリアを吹く
調合にせよ単色にせよ、光沢仕上げの塗料を選択するとリスクを下げれるかもしれません。艶消しは表面がざらざらとなりがちです。このざらざら感がある場合は高確率で滲みます。
表面がざらついている場合は、一度光沢クリアを吹くのも方法の一つです。そうすることで表面をつやつやにすることができます。個人的にはパールクリアを吹くようにしてます。(最終的にはつや消しにする場合でも、鈍い反射がいい感じに仕上がることが多いので)
3つ目、そもそも下地塗料の希釈を適正に行う
そうなんです。おそらく濃度が濃い、うすめ液が少ないとザラザラとした仕上がりになるのです。これは色やメーカーなど様々な要因がありますので、試してみない事にはわからないです。ですので、ネット情報や公式情報を基本としつつも、自分の環境に合わせた工夫が重要です。排出圧や気温なども関係しますしね。
2、スミ入れ塗料は、適度な粘度(さらさら感)にしておくことについて対策
スミ入れ作業時、塗料の蓋をあけっぱなしにすることが多いのですが、おそらくこの時に薄めるための溶剤が揮発しており、毛細管現象できない粘度になったりすることもあるかもしれません。この方法は一時的な回避方法ではあるのですが、溶剤を注ぎ足して攪拌する(混ぜる)ことを心掛けるようにするのも手なのかもしれません。ですが、もっと良いのは別の容器に移して適切に調合し直す方法です。そういう意味では、スミ入れ塗料を使わずに、あえてエナメル塗料+溶剤で初めから調合するのも理に適っているかもしれません・・。早々に減る部材ではないので、必要な分だけ都度作成するほうがコスパが高いかもしれません。
(スミ入れ塗料の詳細はこちらから)
まとめ
簡単な様で意外と難しい”スミ入れ”、疑似的なリアリティを追求するためには重要ですし、奥が深い技術です。そうなんです、スジ彫り技術とも密接に関係している事なので、考えがまとまった時点で記事にはする予定なのですが、如何せんもっともっと難しい技術なので、少し先になりそうです・・。
ですが、ハセガワさんのプラモデルの素晴らしくて手の加えられないモールドのような場合は、スミ入れ技術だけが肝になりますので、先に習得しておくべき技術ではないかと思っている次第です。
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