実は、本格的にエアブラシ塗装をするようになって、さほど年月は経っていません。期間としては2年ぐらいでしょうか。初級者と中級者の間ぐらいでゆっくりと技術を磨いている私ですが、そういう今の状況だから言えることもあるのではないかと思います。
そういうことで今回は、初心者モデラーのエアブラシ塗装に必要なツールに焦点を絞っておすすめ製品をご紹介します。特にコンプレッサーやハンドピースのバランスは重要ですからね。
まずはエアブラシ用ハンドピースについて。
ハンドピースとは、エアブラシ塗装のイメージの通り、手に持ってプシューと吹き付けるあれです。ハンドピースの役割は、塗料を一時的に貯めて、圧力で塗料を吹き付け、なおかつその量を調整する・・・と、模型作成のツールとしては構造的な多機能が求められます。要するに可動構造の組み合わせで構成されているので、部品の精密さと耐久性の他に、可動に対しての精密さと耐久性も求められるツールとなります。
ハンドピースの種類について
ダブルアクション

これは、TAMIYA製のダブルアクションハンドピースです。もう、2年ほど使っています。

このように持って、

人差し指でトリガーを押すと、空気が排出され、

ニードルを手前に引くと塗料が排出されます。引き量により塗料の排出量が変わります。
メリットは、細かい塗料の調整できます。例えば、グラデーション塗装などです。
デメリットは、指先に繊細な動作を要求されるため、疲れやすいことです。
トリガーアクション

これは、TAMIYA製のトリガーアクションです。こちらも2年ほど使用しております。

こちらの持ち方は、握るように持って、

人差し指を引くだけです。(握るイメージです。)
メリットは、長時間の作業でも疲れにくく、安定した吹付が可能な事です。面積の広い箇所への塗装や、サーフェイサーなどが向いていると思います。
デメリットは、やや細かい作業がしにくいことです。
エアブラシ用ハンドピースの初心者おすすめは?
最初の1台としては、だんぜん、TAMIYAのトリガータイプをお勧めします。
TAMIYA製をお勧めする理由
老舗メーカーの信頼による入手のしやすさです。店頭ではもちろんのこと、どこのネットショップにも必ずと言ってよいほど販売されています。それだけ、トラブルが少ない信頼性の高い製品ということです。
トリガータイプをお勧めする理由
ダブルアクションのように複雑な操作は不要です。個人的な経験から申し上げると、導入してから1年ほどは、不慣れなこともあり細かい微妙な操作を必要としない印象です。そもそも、エアブラシ最大の利点は、その塗装面の薄さです。何層重ねても筆塗の精度より勝ります。これだけでエアブラシ塗装の効果は享受できるのです。ですので、細かい調整操作の技術より、まずは安定して長時間吹き付けられる技術を望むようになります。実は、エアブラシによる細かい塗分けが必要になってくるのは、安定したエアブラシ塗装を習得してからであり、最初から望めるような技術ではないと最近感じます。
ということでシンプル操作と安定塗装が可能なトリガータイプをお勧めします。握るだけなのでとっつきやすく、長時間安定して作業ができます。
将来的には、パーツによってハンドピースを変えながら作業する事だって可能なのですから・・・。
そして、エアブラシ用コンプレッサーについて。
一番悩むのはコンプレッサーです。音もそれなりに大きいですし、普段の生活の中では使わないものなので、想像が付きにくいからです。

候補は・・・。
まずは、GSIクレオス Mr.リニアコンプレッサーL5
老舗メーカーの製品として、比較的静音、作業時間の制限もなく、本体もコンパクト、優れた性能を発揮してくれるのが、GSIクレオス Mr.リニアコンプレッサーL5です。この商品を買えば間違いはないのですが・・・、価格が高いのです。メーカーHPでは39,600円となっています。(販売店によってもう少しお安いかもしれません)
次に、タミヤ HGレボII
では、老舗メーカーの製品で、比較的価格が抑えられた物としては、タミヤ(TAMIYA)スプレーワーク HG コンプレッサーレボ IIです。メーカーHPで27,500円です。価格は抑えられており、軽量で静音なので、大変おすすめです。作業時間に制限があり効率的な運用が求められます。
最後に、RAYWOOD NITRO-COMP V2
そして最後に、最近話題のRAYWOODです。最新製品はPROFIX NITRO-COMP V2、メーカーHPで22,000円と一番リーズナブルです。コンプレッサーに3Lタンクが組み込まれたモデルで、他にも標準装備されている機能が多数あります。吐出量・圧力も優れた能力で、長時間作業にもおすすめです。大変、コストパフォーマンスに優れた製品です。
上記はタンクと一体型の新製品ですが、別構成の旧製品もあります。ちなみに私はこちらを使用しており、タンクは水対策に役立っております。今なら一体型を買っていたと思います。
エアブラシ用コンプレッサーの初心者おすすめは?それは、RAYWOOD製品です。
実は私、RAYWOOD製のPROFIX NITRO-COMP ニトロコンプ V1+PROFIX AIR-SYSTEMS エアブラシ用エアータンク T-25を使用しています。かれこれ2年は経ちますが、トラブルは一回もなく安定して作業ができています。という意味で、私のおすすめは、
RAYWOOD製品一択です。
コストパフォーマンスに優れすぎています。製品群の中でも、一番低価格でこれだけの耐久性と性能は、満足以外の表現が見つかりません。
ちなみに、電動の一体型エアブラシの評価は・・?
個人的な結論から言うと、匂いの問題がクリアできた状況で、騒音と携帯性を問題としている方には有効なツールかもしれません。
メリットは、手軽に作業できる事です。ホースも無く、音も静寂、匂いはどうしようもないですが手軽でした。
ですが、この製品をメインにできなかった理由は、ハンドピースが目詰まり起こしやすかった事と、重量が重く作業時間が短くなってしまう事が原因です。何回か使用しましたが清掃作業の電池残量も残して作業しなければならず、最終的に目詰まりを起こしてしまったこと、構造的にも頼りなかったこと、そして、30分も作業すると重さに耐えられず、しかも排出性能が低下したためです。おそらく、部分塗装などには大変活用できますが、メインとしては耐えられないのではないでしょうか。
まあ、私が購入したのは比較的安価な物でしたので、そのあたりにも起因しているのかも・・・。
エアブラシ塗装には、他にも必要な物はあるのです。
価格を抑えたい理由は、ここにあります。
私がコストパフォーマンスをお勧めしてる理由は・・・。
エアブラシ塗装には、ハンドピースとコンプレッサーだけ揃えても作業できないからです。ほかにも必要な道具があるのです。だからこそコストを押さえないといけないのです。
ということで、他の必須ツールをご紹介します。
猫の手と置き台
まずは、通称”猫の手”、パーツを面積少なく挟み込む道具です。
筆塗をされている方はお持ちかもしれませんが、塗装時や乾燥時に必須の道具です。ガンプラを作る際は、2,30本では全く足りず、大量に必要です。ちなみに自分は100本以上(かなりそれ以上です)は所有しています。それでも足りないことはあるのです。・・・・。
と、それを立てる台座です。専用パーツが売っているのですが、私は猫の爪とぎを代用しています。面積と価格のバランスが優れています。これは、ホームセンターで現物を見て買うしかないかもしれません。注意点は、爪とぎ単体ではなくて、爪とぎが箱に包まれている製品を購入する点です。爪とぎは穴が貫通していますので、箱に包まれていなければいろいろ不便です。
エアブラシ塗装ブース
エアブラシ塗装をすると、細かい塗料の粒子が舞い上がります。それを吸い込んで部屋に充満させない役割を担うのが、塗装ブースです。無いと、部屋中がうっすらと色付いてきますので・・・。
ただし、注意点もあります。吸い込んだものはどこかに排出されなければいけないため、必然的に窓際の環境が求められます。ホースで室外に排出しますが、長ければ長いほど取り回しに苦労しますし、排気性能も効率が悪くなります。
また、シンナーのにおいについては、塗装ブースがあるからと言って完全に消臭できるわけではありません。扇風機ほどの大型ファン装備の製品であれば可能かもしれませんが、ホースの太さや形状にも左右されます。
それと、ファンが回りますので、それなりの音がします。コンプレッサーの音とは違い振動のする音ではないのですが、キッチンの換気扇をご想像ください。
ですが、無いと作業はできません。ある意味必須のツールです。
タミヤ スプレーワーク ペインティングブースII(ツインファン)
入手の選択肢が豊富で、製品の性能のバランス(静音性と排気性能)が優れています。本製品はファンが2基ついていますが、1基モデルもあります。
ですが、資金と相談してくださいね。
RAYWOOD PROFIX NITRO-BOOTH ニトロブース 卓上塗装ブース 450/550
価格は高いですが、排気性能に優れた上級モデルです。また、作業スペースが大きく、更にブース上部にライトも設置されており、使いやすさも追及された製品です。
ネロブース
信頼性に優れ、排気性能に優れた、こちらも上級モデルです。特徴はシロッコファンを装備していることで、ホースが長くても安定した排気性能を発揮できるのが特徴です。
結局、何を選択するのか
まず、私のようなコスト重視の初心者モデラーがそろえるには、タミヤのブースがコストパフォーマンスが良くておすすめです。
ですが、塗装ブースについては、作業に慣れてくると絶対に上級モデルが欲しくなると思います。作業環境の快適さに直結しますので・・・。そこでもし、予算に余裕があって、なおかつ、エアブラシ塗装をこの先も続けていく決意があれば、最初から上級モデルを購入するのも一手かもしれません。そうすれば、非常に良い環境で作業できますので、長時間の作業も可能になり、より満足度が高い模型ライフを送れると思います。
その際、窓際に設置できる場合はRAYWOOD製品、排気ホースが長くなりそうな場所に設置する場合はネロブース、を基本に選定を進めると寄り道が少ないような気がします。
ハンドピースの置き場(エアブラシスタンド)
ハンドピース上部のカップに塗料を貯めて塗装を行うのがエアブラシ塗装ですが、形状からわかるように塗料を入れたまま別の作業を行う際には専用の置き場が必要なります。液体が入っている以上、倒して置いとく訳にはいきません。いわゆる”エアブラシスタンド”です。コンプレッサーに付属している場合もあるのですが、別にあったほうが便利な場合も多いです。
タミヤ(TAMIYA)製で安くて、2台置けて、大変便利です。やや、場所は取りますが。
こちらもタミヤ(TAMIYA)製、机の端に固定するタイプで、場所を取りません。
その他のエアブラシ必要ツール
エアブラシを導入するための初期費用として、侮ってはいけないのが調色や清掃などに使うツールです。ずっと使い続けられるものや使い捨ての物など、様々です。これらが無いと、エアブラシ塗装はできないのです。
調色に必要な道具
混ぜ棒と調色スティック
塗料ビンの塗料を混ぜたり、少量を取り出したりしやすいステンレス製の棒状の製品です。スプーン形状とヘラ形状が両端に装備されており、使い分け可能です。ですが、大量の塗料を混ぜるには向かないかもしれません。
こちらは、塗料ビンの攪拌作業に特化した混ぜ棒です。よく混ざり、力を入れなくても混ざります。
うすめ液各種と注ぎ口キャップ
塗料を薄めるためのうすめ液ですが様々な物があります。個人的にはこのサイズの入れ物が一番使いやすくておすすめです。入れ物だけ使い続けてます。
そして、うすめ液の選択ですが、どのような割合で調色するのか、エア圧、ハンドピースの口径、どのメーカーの塗料をつかうのか・・・、と様々な好みの条件で変わってくると思いますので、どれがおすすめとは言えないです。まずは、無難に塗料メーカーと合わせることをお勧めします。
先ほどの容器の先にこのキャップを付けなおすと、大変便利です。片手で開け閉め可能です。
計量メモリ付きボトル
うすめるせよ、調色するにせよ、計量メモリ付きの容器は重要です。これが無いと、調色の再現は不可能ですし、ちょうどよい塗料のうすめ具合も再現できません。ある意味必須のツールです。
紙コップ
調色した塗料を一時的に保管しておく容器です。使い捨てに出来るので大変便利です。
清掃に必要な道具
塗装って一色だけで完成できるわけではありません。何色も塗ります。ですので、色を変える際は、ハンドピースの清掃を行わないといけません。もちろん、作業終わりにも清掃するのですが、色数の回数は清掃することになりますので、きちんと汚れを落とせる環境が必要です。
清掃用シンナー(ツールクリーナー)
ガラスの空き瓶
なるべく底の面積が狭く、口の面積が広いガラス瓶があると大変便利です。使用済みの混ぜ棒などを、ツールクリーナーに漬けておく際に使用すると便利です。
キッチンペーパー
ふき取り、清掃などに大変便利です。安いときに大量に買っています。
まとめ
と、本当に様々な製品をご紹介しました。まだまだたくさん、ご紹介したいものはあるのですが・・・・。
一番申し上げたかった事としては、エアブラシ塗装を始めるにあたって、比較的高額なそして目立つエアブラシ(ハンドピース)とコンプレッサーだけ揃えても作業はできないということです。そして、他にもそろえる道具と価格の事を考えると、特に私がそうだったように初心者はコストパフォーマンスに優れた製品をチョイスするのが得策だと思うのです。本当に際限なくお金がかかってしまいますから・・。
ということで、今回の投稿が皆様のお役に立てばうれしいです。